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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 阿佐ヶ谷 SOUL玉TOKYO

JBLが聴ける店・Sound of JBL

阿佐ヶ谷

SOUL玉TOKYO

芯のある、太い音
ボリュームを上げてこそ
その魅力を発揮する名機「4320」

JBLが聴ける店・SOUL玉TOKYO

ジャンルはソウルだけにあらず。多彩な音楽と酒を楽しめる店。

JBLが聴ける店・阿佐ヶ谷・SOUL玉TOKYO 01 JBLが聴ける店・阿佐ヶ谷・SOUL玉TOKYO 02 JBLが聴ける店・阿佐ヶ谷・SOUL玉TOKYO 03

【上】カウンターの奥には、矢野間氏が集めたアナログレコードがぎっしり。ジャンルは多彩。ここでしか聴くことができないレアものもある。【中】プロのミュージシャンたちからも絶大の人気を誇る4320。年季が入りカバーは外してしまったが、プレート部分は大事にとってある。このスピーカーで聴きたいからと、自分の愛聴盤を持ってくる人も。【下】丁寧に仕込まれた欧風カレーは、ボリュームも大満足。写真はシングル600円(ダブルは1,100円)。ビール600円。カレーパスタも人気。

 東京・阿佐ヶ谷駅北口前のビルにあるライブバー『SOUL玉TOKYO』。現役シンガーでありマスターの矢野間健氏がオープンさせたこの店は、2017年で5周年を迎える。オープン以前は、同じく阿佐ヶ谷北口にある老舗音楽バー「バレルハウス」のマスターだったという。
「20代前半頃にお世話になっていた方が『バレルハウス』の経営者だった関係で、1989年から僕がマスターをやるようになりました。それまで飲食店の経験はまったくなく、最初は半年だけという話だったんですが、結局20年以上やることになって」
 しかし5年前、知人が経営するジャズバーが閉店することを聞き、その場所でライブもできる店を新たに始めようと決意した。馴染みある「バレルハウス」は後輩に引き継いでもらい、『SOUL玉TOKYO』が誕生した。
 店には矢野間氏が集めてきたLPがずらりと並ぶ。そのジャンルは幅広く、ソウル、ブルース、ジャズ、ロック、歌謡曲、演歌となんでもある。マニアが喜ぶような珍しいものも多く、さまざまな音楽を4320の迫力あるサウンドで楽しめるとあって各地から音楽ファンが集う。
 また、この店の看板メニューとなる欧風カレーも人気だ。昔から料理が趣味だったという矢野間氏の自信作で、バレルハウス時代からの名物だ。じっくり炒めたタマネギのコクがたっぷりで、その味わいはビールにとてもよくあう。長い年月の間に少しずつ改良されてきてはいるが、基本は小学生のときからつくっていたものと変わらないと言う。ここに来たら必ずオーダーするという人も多い。

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【上】明るくカジュアルな雰囲気で、音楽ファンならずとも、誰でも気軽に立ち寄れる。壁に飾られているのは「バレルハウス」時代のオリジナル年賀状。その年に矢野間氏がハマっていたというアーティストたちが描かれている。【中】ピンクフロイド『狂気』。ファンにとってはこのLPを4320で聴くことがどんなに嬉しいか。これをかけると、スピーカーの前に座ったまま、じっと聴き入り動かなくなってしまう人もいる。【下】「芯のある太い音が魅力」という4320。音だけではなく、その存在感も抜群。

あのアビーロードスタジオでも
使われていた4320。

 矢野間氏がこの4320を手に入れたのは1990年代の半ば。ある日、突然友人が持ってきたそうだ。その友人も、引越して音が鳴らせない状況になったという知人から譲り受けていた。
「タダで貰ったものの最初は大きいから置き場所に困り、家に縦積みにしていたんですよ。でも、調べてみたらとても良いスピーカーだったし、寸法を計ったらなんと当時の店にあつらえたようにぴったりはまったので設置したんです」
 まるで、矢野間氏のもとへ来るべきして来たという展開。以降、数多くの音楽好きのお客様たちから愛される存在となり、今に至っている。
「このスピーカーは、芯のある太い音が魅力です。だからボリュームを上げてこそ本当の良さがでる。CDだと音がキンキンしてしまうので、あまりあわないですよね。やはりアナログがいい。今はAVアンプで流しているからちょっと残念なんですが、それでも音源がアナログだと、やわらかく、かつ強く聴こえるんです。ガツンとした、いい感じでね」
 4320といえば、1970年代に英国の有名な録音スタジオ"アビーロードスタジオ"で使われていたとして知られている。そこで、矢野間氏はカートリッジを変えた後のチェックには、必ず当時そこで録音されたピンクフロイドの名盤『狂気』(原題:The Dark Side of the moon)をかけるという。爆音で流れる『狂気』が、たまらなく良い。
「最初の持ち主が誰かは知らないけれど、よほどオーディオ好きだったんでしょうね。今、巡り巡ってこうしていろんな人に聴いてもらえるようになって良かったと思っています。オーディオファンの方からは、この店の椅子の高さだったら、あと1mは高く置いた方がいいとか、いろいろと要望もいただきます。スペースの事情もあり、そう簡単には応えられませんが」
 現在はかなり年季が入った見た目となり、カバーもない状態だが、音は完璧。その堂々たる風格は、店で特別な存在感を放っている。

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【上】Monday Blues Torioは、有名ミュージシャンや海外アーティストとも共演する実力派揃い。ブルースやソウルを中心とした選曲で、最初から最後まで観客を飽きさせないライブは必見。【下】音楽一家に育ち、5歳頃から歌っていたという矢野間氏。一見さんからディープな音楽好きの常連まで温かく迎えてくれる、彼の人柄もこの店の大きな魅力だ。ちなみに店名『SOUL玉』は矢野間氏のニックネームからきている。

他では見ることができない
貴重なライブも開催!

 「SOUL玉TOKYO」では、他ではなかなか見ることができない貴重なライブも行なわれている。取材した日にライブを行なっていたMonday Blues Torio(メンバー:Miss Lee[p,vo]、Kotez[harp,vo]、渡辺さとし[drs,vo])もそのひとつ。月1回、月曜日限定で行なわれているこのトリオの評判は上々で、客が客を呼び、週はじめにもかかわらず毎回満席となっている。客席と一緒に大いに盛り上がる楽しいステージは、ライブハウス初心者にもおすすめだ。
 この店ではプロとして活躍しているミュージシャンが数多く登場し、現役シンガーである矢野間氏もしばしばゲストとしてステージに立ち、1〜2曲歌っている。黒人音楽を演ることが多くソウルシンガーとして知られている矢野間氏だが、実はジャンルにはあまりこだわっていない。「自分の声が活かせる曲だったら、何でも歌いたい!」と言う矢野間氏の見る人を圧倒させるパワフルな歌声を間近で聴けるのも、この店ならでは。
「この店をはじめていちばん良かったと思うのは、毎日違うミュージシャンと会えること。とても刺激になりますよ。自分にとっては最高の環境ですよね」
 ライブ終了後には、4320から流れる音楽をゆっくり聴きながら酒を飲むという楽しみが待っている。どっぷりと音楽に浸れる至福の時間、気が付けば、深夜。
「若い人たちにも、ぜひこういう大きなスピーカーでアナログを聴いて欲しいですね。CDはどうしても音の上下だけを聴いている感じがするけど、アナログだと耳では聴こえないような音も、耳以外の感覚的なところでちゃんと聴こえているような気がするんですよね」
 誰でも気軽に立ち寄れて、なかなか聴くことのできない"音"を堪能できる『SOUL 玉TOKYO』。バータイムのみの日や、月1回落語会も開くなど、さまざまな楽しみ方ができる。