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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 新井薬師・中野 | ロンパーチッチ

JBLが聴ける店・Sound of JBL

新井薬師・中野

ロンパーチッチ

1950年代の
「C38 Baron」が奏でる
オールドJBLサウンド。

JBLが聴ける店・新井薬師・中野 ロンパーチッチ

「心のよりどころ」が現実になったJAZZ喫茶。

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【上】POPでお洒落な外観はまるでカフェのような雰囲気。【中】シンプルな内装の落ち着いた空間でJAZZを楽しみながらゆったりとしたひとときを過ごせる。【下】奥様の淹れる豆を選び抜いたコーヒーにはファンも多い。

 POPでお洒落な外観。天井が高く開放感あふれる店内。およそJAZZ喫茶のようには見えないカフェのような明るい雰囲気の店内には、1950年代に作られたオールドJBLの「C38 Baron」が現役で鳴り続け、JAZZ喫茶としての存在を主張している。
 オープンは2011年の暮れ。サラリーマンだったオーナーの齊藤外志雄氏ご夫妻が、脱サラして開業した。
「もともとIT系の企業にいましたが、会社勤めがまったく向かず、いつかJAZZ喫茶を開こうという思いを胸に毎日を過ごしていました。それが心のよりどころになっていたのかもしれません。その思いが2011年の震災をきっかけにますます強まっていたちょうどその頃、たまたま近所の普段通らない道を散歩してるときに、この物件にテナント募集の貼り紙があるのを見かけました。思わず問い合わせの電話をかけて、そのまま契約まで進んで、しばらくの後なんとか会社も辞めて(笑)、そうこうしているうちに、開店4年目を迎えています」
 物件契約後から急に現実的になったJAZZ喫茶開店に向けて、ますます購入速度が増したというLPレコードは現在2000枚。
「同じ趣味の方には分かっていただけると思うのですが、レコード収集は一種の病気で、常に買いたくてたまらないのです(笑)。物件が決まってからは、商売道具だから、というのが心の免罪符になり、勢いが増しました。とはいえ、お金も場所も限られているので、2000枚といっても、なるべく安く仕入れて、処分して、と内容はかなり入れ替わっています」
 そして、JAZZ喫茶の顔ともいうべきスピーカー選びは、前々から候補をしぼっていたという。
「スタジオモニター系のものよりは、ボザークや、アルテックのバレンシア、そしてこのBaronのように、自然とお店になじむ家具調のスピーカーを考えていました」

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【上】ジャストサイズのBaronは比較的大き目の音で鳴らされている。【下】1950年代ならではの珍しい「JBL signature」のロゴマーク。

鳴った音が自分の店の音になる。

「ネットで商談中になっているBaronを見つけて、ダメもとでその中古オーディオのお店に行って話をしてみたところ、店員さんが、そういうことならあなた方にどうぞって(笑)、ちょっと予算オーバーでしたけど、これも運命だと思って即決しました」
 購入したのは1956年製の「C38 Baron」。38cmコーン型ワイドレンジスピーカー「D130」にホーン型ツイーターの「075」という、JBL王道の2ウェイユニット構成スピーカーだ。
 開店準備中の店に運び込まれた「C38 Baron」は、まさにジャストサイズだった。スピーカーを設置する場所の中央にはトイレのドアがあり、これ以上大きかったら、ドアが開かないところだった。さまざまな偶然の出逢いが生み出した奇跡の店作りだった。
 齊藤氏は「C38 Baron」を購入してから、自分でスピーカーには手を入れてないという。基本的には買ったままの状態だそうだ。
「うちにとってオーディオは趣味ではなく生活の手段です。まずは鳴った音が自分の店の音なんだと受け入れることが大切だと思っています。スピーカーをカスタムしたり、調整を重ねるのもいいと思いますが、鳴らし聴かれ続けることで、だんだんにこのお店の空間に馴染んで全体として心地よいものに落ち着いてくると信じてます。音そのものについていろいろご意見を下さるオーディオマニアの方もいらっしゃいますが、正直ちょっと相容れないところがあります(笑)」
 とはいえ、最初に購入した真空管アンプの調子が悪くなったとき、これを使ったらどう? とマニアックなアンプを持ってきてくれたのは、隣町のオーディオマニアのお客様だった。その節は本当にありがとうございました! だそう。
 そのアンプが現在もドライブし続けている古いアメリカ製の「THE FISHER」インテグレーテッドアンプである。このアンプとBaronの相性は思いの外よく、現在のロンパーチッチの音として、お客様に心地よいサウンドをお届けしている。
「鳴った音が自分の店の音。ですが、この音は正直気に入っています。あとはお客様が来て下さることを心底願うだけです(笑)」

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【上】マスターの好みであるフランクフォスターなどのスピリチュアルジャズ系が多くかけられる。【下】常連のお客様のお薦めによるアメリカ製の古いアンプ「THE FISHER」と2台のプレーヤーで「C38 Baron」を鳴らしている。

新入荷レコードはうちにとって新譜。

 店内にはLPオンリーで2000枚を常備。齊藤氏は日頃、隙きを見てはレコード店に繰り出す生活を送っている。
「70年代や80年代を中心に買っています。相変わらず安いLPが中心です(笑)。僕自身はスピリチュアル系のJAZZが好きですので、そのあたりが多くなっているかもしれません。フリーなのかジャズロックなのか、よく分からないような物ですね。ただ、スペースの問題はもちろん、かなりの頻度でご来店くださる方も多いので、なるべく同じものはかけないようにと、これは病の言い訳でもありますが(笑)、固い所は守りつつ、買って、処分して、鮮度を保つように心がけてもいます。新入荷レコードはうちにとっては新譜なんです」
 ロンパーチッチでは、「お客さんがいないとき」「手強そうなおじさんが来たとき」「カフェ女子が来たとき」「珍しく混んだとき」などのシチュエーションを想定した非常にユニークな選曲パターンも用意している。
「でも実際の営業中は、それらのシチュエーションが重なっていることの方が多いのです。こういう時はこれ、という想定ももちろんありますが、実際は、先ほどお話ししたように、かなりの頻度でレコードの新入荷があるので、それをメインにかけていることが多いです」
 ちなみにロンパーチッチという名前に特に意味はないそうである。奥様が何気なく言った言葉を齊藤氏が気に入って仮の名前にしているうち、そのまま店名になってしまったということだ。
「今後の目標は店が潰れないことと、奥さんと離婚しないこと。これだけ守っていけばなんとかなると思っています(笑)」
 何もかもがユニークなロンパーチッチ。ぜひ、訪れてオンリーワンなJAZZ喫茶の空気感に包まれて欲しい。