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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 兵庫・神戸 神戸ロバアタ商會

JBLが聴ける店・Sound of JBL

兵庫・神戸

神戸ロバアタ商會

さまざまなストーリーをつなげる
そのベースとなる4312A。

JBLが聴ける店・神戸ロバアタ商會

音楽とお酒をベースに
ミクスチャーする空間にしたい。

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【上】山手幹線から少し入った住宅街にある神戸ロバアタ商會。2017年末にリニューアルしたエントランス。扉を開けると心地よい空間が待っている。【中】神戸ロバアタ商會のオーナー、小村氏。音楽、お酒はもちろん、小村氏の深く広いバックボーンから醸し出される心地よい時間を楽しめる。【下】小村氏オススメのアルバムたち。山崎ハコ「飛びます」、フィービー・スノウ「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」、松本隆「デラシネ」、浅川マキ「灯ともし頃」。

 「神戸ロバアタ商會」。名前を聞いただけでは、いったいどんな店なのか想像できない不思議な響きを持つこちらのお店は、三宮のナイトライフに欠かせないバーのひとつ。中山手通から入った住宅街にある店の扉を開けた瞬間、オーセンティックなバーが現れる。正面には世界から集められたボトルが並び、それと対峙するように布団張りした重厚なカウンターを配置。とはいえ、堅苦しかったり重々しい感じはない。むしろ肩の力が抜けていくようなリラックスした気持ちにさせられる。その理由を探りながら、オーナーの小村氏に話をうかがった。

 神戸ロバアタ商會は、小村氏が29歳の平成16年にオープンした店。まずは、店名の由来から聞いた。「10代のころから、店をやるならどんな名前がいいかを考えていました。そこで出てきたのが、"ロバアタ"という言葉。この言葉の響きが気に入って、ロバが田んぼで佇んでいるロゴをつくったりしました。で、店をはじめるとき、ライブもしたいし、デザインやフライヤーもつくれるミクスチャー的な場所にしたいという意味を込めて、"商會"という言葉を付け加えたんです」

 音楽とお酒を柱に、いろんなものをミックスしたバーにしたい。そんな小村氏の想いをカタチにしたのが、神戸ロバアタ商會というわけだ。
バックバーの両サイドに置かれた4312Aから心地よいサウンドが流れてくる。聴きたい人にはしっかり聴けるし、聴かない人には邪魔にならない絶妙な音量。ジャズ、ブラック、ラテン、ムード歌謡、ロック、フォーク……。ジャンルに偏ることはない。しかし、そのすべてがつながっているのがオモシロイ。

「つながりを考えますね。たとえば、浅川マキをかけたら、はっぴいえんど、細野晴臣、リトルフィート……。自分のなかでストーリーをつくって、そこにお客さんの想いが加わるのが楽しいですね」

 もちろんリクエストにもしっかり応じてくれる。だけど、そこに小村氏のストーリーをつけることで、さらに味わいが深いモノになっていく。そんな瞬間を求め、今夜も訪れる人が絶えないのだ。

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【上】40年前に手に入れたJBL4312A。オリジナル状態のままで鳴らし続けている。4312Aのエンクロージャーに合わせ、バックバーをレイアウトしたとのこと。【中】コンピューターに取り込んだ音源を、マランツのパワーアンプで増幅し、JBL4312Aで鳴らしている。状況次第で、レコードをかけることもある。【下】天井は錆びた感じを出すために、黒い下地を塗ってから、明るい色を吹き付けたとのこと。

毎日15時間、ひたすら聴き続け
一生付き合っていく。

 小村氏は毎日昼過ぎには店に来る。その日来るゲストたちのことを考えながら、開店までの時間を過ごす。そこからクローズする翌日の3時までの15時間、毎日音楽を聴き続けている。

「これだけ長い時間、音を聴いたら疲れると思うかもしれませんが、そんなことはありません。逆に小さい音の方が疲れるんです。疲れないのは、緩急のある選曲をすること。アップテンポの曲のあとは静かなバラードという風に、凹凸があると疲れないんですよ」

 神戸ロバアタ商會のスピーカーは、20年くらい前に手に入れた4312A。前オーナーから数えれば40年ほど前のものだ。低域には30cmコーン型ウーファーの2213H、中域は13cmコーン型ユニットの104H-3、高域にはドーム型ツイーターの035Tiを採用したスピーカーシステム。小村氏が25歳のときに手に入れたスピーカーで、それ以来ほぼ毎日鳴らし続けている。

 「なにも加工していません。手に入れた状態のまま使っています。店のレイアウトも4312Aありきで仕上げています。バックバーの定位置(両サイド)にこのスピーカーを置くようにデザインしました。カウンターに座ると、ちょうどスピーカーを耳の高さに来るようにしています。スピーカーには手を加えていませんが、最近スピーカーの下に消しゴムを置くといいと聞いたのでやっています。気持ちですけど、低音が締まったような気がします(笑)。季節や湿度で音が変わりますが、そういうところも含め、ずっと付き合っているし、これからも付き合っていきたいですね」

 2017年末にリニューアルした店内には、小村氏が曲を選ぶためのブースが備えられている。その後ろにはズラリと音源が並び、レコードは1,000枚ほど、デジタル音源は10万曲あるという小村氏の幅広い深いバックボーンの一端が見える。パワーアンプはマランツで、基本的にコンピューターに取り込んだ音源を流している。客の状況で、ターンテーブルを回すこともあるという。

 ジャンルやテンポ、トーンは実にさまざまなのだが、すべてがパッケージングされたように心地よくつながっていく。ゲストとのちょっとした会話のなかから、その日の心の断片につながる曲が流れてくる。その瞬間を味わったら、もうこの店は行きつけになる。

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【上】DJブースの前に置かれたテーブル。心地よい壁紙の風合いにも注目。光を当てた時に影が出るように、エージングさせている。色合いの違う3色で仕立てている。【中】神戸ロバアタ商會のモチーフとなったロバのスケッチや置物、グラスなどが置かれている。【下】まず1杯目ならば、ブラックニッカのハイボール(700円)。リキュールやバーボンのほか、ウイスキーならばアイラなどが人気。

オーディオだけでなく
すべてが心地よい空間が理想。

 神戸ロバアタ商會がある山手幹線より北の地域は、隠れた名店が多い知る人ぞ知るエリアでもある。チリや南北インド、ベトナム、タイ……。世界の料理を味わえるだけでなく、いろいろな海外の寺院もあり、多様な文化が交錯するところでもある。そんなお店から流れてくる客も多いという。

 「神戸の人は歩いてハシゴするのが基本。いい店はないかと聞かれ、紹介でいらっしゃる方も多いですし、そこから常連になってくださる方も多いんです。こちらから紹介することも多いですし、いろいろと教えてくださる大先輩たちも近くにいらっしゃる。そういう意味で、神戸は横のつながりが強いのも魅力ですね」

 神戸ロバアタ商會には、20〜50歳代と幅広い年齢層が訪れる。お酒、音楽、そして小村氏が好きな地政学や歴史の話を楽しみに来る人などなど、実にバラエティに富んでいる。年齢、性別に関係なく、きっとココロのどこかにひっかかって話し込んだら、すぐにまた訪れたくなるはずだ。
店内に彩りを加えているのが、バックバーに飾られる生け花。毎週、新しく花を生け、季節感を出しながら、店にまた違った薫りを運んでくれる。この花を楽しみに訪れる方も多い。

「音だけではなく、照明や温度も含めて、それらがトータルに心地よい状態にしたいですね。音の重要性は50%くらいかな。グラスの音や話し声を含めたすべてが心地よくバランスしている状態。そんな空間がつくれたら、幸せですね」