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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 新宿 | DUG

JBLが聴ける店・Sound of JBL

新宿

DUG

壁に埋め込まれた
「C54 TRIMLINE」が
ライブの生音を再現する。

JBLが聴ける店・新宿DUG

新宿のジャズ喫茶文化を
黎明期より支えてきた歴史ある店。

JBLが聴ける店・新宿DUG01JBLが聴ける店・新宿DUG02

【上】重厚な煉瓦造りで落ち着いた雰囲気の店内。オーナー・中平氏が集めたアンティークの椅子やテーブルも並ぶ。【下】世界的なジャズ写真家でもある中平氏の作品は、店内に数多く飾られている。

「DUG」の歴史は古い。そのルーツは1961年に新宿・現ALTAの裏の「DIG」というジャズ喫茶に始まる。オーナーは、アート・ブレイキー、セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーンなど錚々たるジャズの巨人たちの写真を撮り続け、現在もジャズ写真家として活躍する中平穂積氏。新宿のジャズ喫茶文化をその黎明期より支えてきた一人である。
「当時のジャズ喫茶は、私語禁止みたいなお店が多くてね。当時のDIGはそこまで堅苦しくしたくなかったんだけど、例えば新聞を読むお客さんがいるでしょ。そのめくる音がうるさいとかで、喧嘩が起こったりするんですよ。まあ本当に殴り合いみたいなこともしょっちゅうあった(笑)。だからしょうがなく会話禁止にしたんだけど、なんか違うと思ったよね」
 中平氏は、当時からアメリカやヨーロッパを何度も訪れ、海外のジャズクラブによく通っていた。
「ニューヨークやパリには、ジャズのライブを聴きながら、演奏の邪魔にならない程度に、会話を楽しんだり、お酒飲んだり、お腹が空いたらちょっとしたものが食べられたりする店があった。日本だってそっちの方が楽しいに決まっているでしょ」
 そして中平氏は自由なコンセプトを掲げ、1967年に紀伊国屋裏にジャズバー「DUG」をオープンした。DIGではアバンギャルドなジャズを多くかけていたが、DUGでは、セシル・テイラーとかオーネット・コールマンのような会話の邪魔にならないような選曲が多くなった。さらに、当時東京ではまず見られなかった「ピザ」や「ワッフル」、フランスパンを使った「サンドイッチ」なども提供した。常に新しいジャズと海外の最新情報に触れることができた両店は多くのお客様に支持され、行列ができる伝説のジャズ喫茶・ジャズバーとなった。
 このコンセプトは、現在の場所に移転した「DUG」にも活かされている。風格ある赤煉瓦の空間に流れる心地のいいジャズ。そして、数多くのお酒やカクテルやコーヒー、オリジナルの食事メニューを楽しみながら、ゆったりとした時間を楽しむことができる。
 ここには50年を越える中平氏のジャズとお店への想いが詰まっている。

JBLが聴ける店・新宿DUG03

壁に埋め込まれた「C54 TRIMLINE」が生み出す豊かな音は、店内のどこにいても心地良く広がる。

「C54 TRIMLINE」が生み出す
豊かな空気感。

「オーディオは山水にいた小林重雄さんに全部任せたんです。昔は大きなスピーカーで鳴らしていたこともあったけど、彼に言われてね。中平さんの好きなジャズはこういう音じゃないでしょ。セロニアス・モンクの本当の音は違うでしょって」
 そしてDUGに導入されたのが「C54 TRIMLINE」。名器といわれた20cmフルレンジの「LE8T」にパッシブラジエーターの「PR8」という構成だ。わずか13cmの奥行きという薄型のエンクロージャーを壁に埋めることにより、音の広がりをさらに高めている。
「小林さんに言われて、確かにそうだって思ったんですね。僕はニューヨークの『ビレッジ・バンガード』や『トップ・オブ・ザ・ゲイト』でビル・エヴァバンスの演奏も聴いたことがあるけど、もちろんPAなんか使わないし本当に音が小さい。でも、彼のタッチならちゃんと聞こえてくるんです。やっぱりライブの良さは、空間が作り出す音にあると思うから、その雰囲気を再現する構成やチューニングを小林さんにお願いしたんです。大きなスピーカーで大きな音で聴くジャズもいいけれど、できるだけ生音に近い演奏を聴けるようにすることも大切だと思いますよ」
 DUGの音は耳障りでない。たとえスピーカーの目の前の席に座っても、決してうるさくなく、店内のどこにいても心地いいサウンドに包まれるのだ。
「スピーカーはジャズ喫茶の主役でもあるけれど、それだけを主張したくはない。いい音で鳴らすのは当たり前だけど、スピーカーを睨み付けて聴くのも違うような気がして、スピーカーは、布で覆って見えないようにしたこともありましたね(笑)」
 現在も、DUGでは小林重雄氏の自作アンプと「C54 TRIMLINE」が、DUG独特の落ち着いたサウンドを作り出している。

JBLが聴ける店・新宿DUG04

「ジャズに感謝」していると繰り返す中平氏。ジャズの文化とともに生きてきた中平さんの功績は大きい。

リクエスト曲はちょっとボリュームを大きくしてあげます(笑)。

 1961年のDIG開店当初から「あなたが、今聴かなきゃならないレコードは全部ある」というキャッチフレーズは有名だった。それほどの曲を用意していた中平氏は、現在のDUGではどういう選曲をしているのだろうか。
「僕はもともとライブ派。ですからレコードもどうしてもライブ盤が多くなります。僕がいるときにはライブ盤も含めて大体10枚以上を選んで従業員に渡すけれど、居ないときの選曲は基本的にはまかせていますね。ただ、ピーターソンのピアノの後に、ウィントン・ケリーみないなかけかたはしないようにとは言ってあります。ですから、ピアノの後はトランペット、その後はヴォーカルのような流れで楽しんでいただけると思います。あとはボリュームですね。必要以上に大きなボリュームでかけることはないです。でも、リクエストの曲は違います。せっかくリクエストしてくれるんだから、ちょっとボリュームを大きくしてあげますよ(笑)」