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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 熊本県 Cafe Jarrett

JBLが聴ける店・Sound of JBL

熊本県

Cafe Jarrett

新たな出会いを導く
EVEREST DD66000

JBLが聴ける店・Cafe Jarrett

定年の1年前にジャズカフェをオープン。
きっかけはEVEREST DD66000。

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【上】中庭に面した「Cafe Jarrett(カフェ ジャレット)」のエントランス。白い壁に重みのある金属製のドアを開けると、心地よいサウンドが待っている。【中上】店内に置かれた「EVEREST DD66000」。このスピーカーを鳴らすために、防音やデッドニングに加え、30〜40cmのコンクリートを土台をつくり、住宅の礎石に純正軸受を置いている。【中下】スクリーンを下ろし、室内の電気を消すと映像が浮かびあがる。大画面で見る映像とDD66000が放つサウンドによる上映会も行われる。【下】ゆったりとした空間の店内。テーブル席12席、カウンターに3席。

 熊本城から伸びる熊本市電が国道3号線と交差する水道町交差点。デパートやショップが並ぶ繁華街の喧騒が嘘のようにゆっくりとした時間が流れる中庭のある雑居ビルに「Cafe Jarrett(カフェ ジャレット)」はある。

 白壁に温かみのあるウッド材を組み合わせたエントランスを開けると、奥の壁にJBLのフラッグシップモデル「EVEREST DD66000」が浮かび上がる。そこは、まさにオーディオを聴くためにしつらえられた部屋。こちらがオープンしたのは、平成25年5月末。まだ4年半ながら、そのサウンドを求め、九州はもとより、全国から耳の肥えた客が集まる店として知られている。

 店主の堀江 伸氏は、もともと警察官。刑事部長という重職に就いていたが、定年1年前に退職し、この店を始めた。きっかけになったのがDD66000だった。

「もともと弟が持っていたものなんです。彼は東京のマンションに住んでいたんですが、その1階でこのDD66000を大音響で鳴らしたら、当然警察に通報されますよね(笑)。せっかくの名機がもったいないと譲り受けたんです。ならば、これをしっかり鳴らせる場所をつくろうと店を始めることにしました(笑)」

 堀江氏とJBLとの出会いは高校生のころ。かつて熊本にあった「タロー」と「ジロー」という店だった。

「なかでも「タロー」はジャズを聴かせる店で、そこに置かれていたのが「Olympus S8R」でした。ベースの低音やドラムのレガートが、ズンズンとカラダに来ました。『オーディオってこんな音が出るんだ』と、素直に感動した覚えがあります」

 ジャズ喫茶にはまった堀江少年は、その後、大学生活を過ごす東京でもいろいろな店に通った。

「機械が好きだったので、秋葉原にはよく行きました。ショールームで聴いた「4350」もすごかった。音がカタマリでくる感覚にカルチャーショックを受け、その時、いつかは38cmウーファー×2を持ちたいと漠然と思ったものです」

 時は流れ、息子さんが自活を始めたころからオーディオへの想いが再燃する。東京への転勤から地元・熊本に戻ると、思いっきりオーディオを鳴らせる場所をつくろうと、自宅の和室をオーディオルーム化。スピーカーはS4800。プロジェクターに100インチスクリーンを備え、友達や親戚を集めて上映会を行った。

「人が驚いてくれるのが楽しかった。それを見ているのが歓びでした。ならば、いつかは自分で小さな店をやりたい。定年後の第2の人生は好きなことしたいじゃないですか。そう思っている時に、DD66000を譲り受ける話になったんです」

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【上】ネットワークオーディオにより、現在かかっている音源がモニターに映し出される。【中】店内の右側には、数千枚のCDが並ぶ。【下】オーディオと並び、堀江氏が溺愛するモデルカーたち。写真は店内にディスプレイされていたフェラーリの名車たち。

80%のポテンシャルは出せたはず。
残り20%はライブならではの立体感!

 店内に座ると、DD66000から流れるサウンドがカラダに染み込んでいくのがわかる。決して大きな音ではない。話ができるほどの音量なのだが、それぞれの楽器の音を明確に感じられる。なかでもジャズトリオで奏でるウッドベースの低音は、指が弦に触れてから増幅していくのがよくわかる。ドラムのシンバルやブラシの音がその間を埋めるように躍動感をプラス。女性ボーカルの歌声は、角が取れ柔らかく耳に響いてくる。対して、ビッグバンドでは管楽器一人ひとりの音が出る瞬間さえも感じられる。音源のディテール、そして立体感までも再現したサウンドには脱帽させられた。

 しかし、DD66000があれば、だれもがこのサウンドが手に入れられるワケではない。ここまでには苦労があった。

「部屋づくりにはこだわりました。防音や天井の吸音材を含めたデッドニングはもちろん、土台には30〜40cmのコンクリートを流し込み、スピーカーの下には家の礎石を敷き詰めました」

 あくまでも音楽を聴く部屋。反響すれば音が混濁する。ここでライブをすることもあるが、声量のないボーカリストやタッチの弱いピアニストにとっては、なかなかに手強い場所にちがいない。

「部屋が完成した後にDD66000を鳴らしたのですが、最初はボワンボワンして締りのない音でした。なかでも低音の出し方が難しかったですね。まずはパワーアンプを当初使っていたマッキントッシュMC601からMC1201に変更し、アメリカ製の電源コンディショナーとトリノフを導入しました。そのうえで、スピーカーの足回りを強化。基礎石の上に純正軸受を置いたことが大きな効果を生んだと思います」

 ちなみにプリアンプに同じマッキントッシュのC50を使用。その他、お客が持ち込んだ真空管アンプや、熊本のアンプメーカー「バクーンプロダクツ社」製のSATORIアンプなどで再生することもある。再生にはLINNのネットワークオーディオを使用。目の前のモニターにはネットワークオーディオにより、現在かかっている音源がディスプレイされている。

「この環境のなかではDD66000が持っているポテンシャルの80%は出せたかなと思っています。ただ、あとの20%が難しい。求めているのは、ライブならではの立体感。ライブとオーディオでは違うのはわかっていますが、やはり目指すところはそこですね。今後はいろいろなアンプで鳴らして、DD66000の違った音を聴いていきたいと思っています」

 まだまだ聴いたことのない音がたくさんあるという堀江氏。その探究心は留まることを知らない。

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【上】オーディオへの想いを語ってくださった堀江 伸氏。「聴いていないオーディオがたくさんあります。まだまだ違う音があるのではないか。そう思うと楽しくなりますね」【中上】エントランスの右側に飾られている鉄のアート。熊本出身の作家によるものだ。【中下】奥様がオススメする3本。左からチリ・コノスルの赤ワイン、フランス南部産で木の樽を使っていないシャルドネの白ワイン、同じくフランス・アルザス地方の辛口白ワイン。【下】ワインエキスパートの資格を持ち、スクールの講師も行う奥様(教子さん)。ワインに合うおつまみはもちろん、特製カレーライスもカフェジャレットの人気メニュー。

これまで関わりのなかった人たちと
出会えることを楽しむ。

 4年半前にオープンしたカフェジャレットだが、現在まで堀江氏にとっていろいろなことが重なった。そのひとつが、お孫さんの心臓移植だった。

「アメリカで移植しなければいけなくなったんです。3億円を超えるお金が必要で、私の持つすべてのつながりにお願いしました。これまでの仕事でお付き合いのあった方や、高校・大学のOBの方々に加えて、この店に集ってくださるお客さまやミュージシャンのみなさん、お店のある水道町親和会の方々などにご協力いただきました。お陰様で無事に心臓手術することができ、今は元気にしています。一人ひとりの皆さんに感謝していますね」

 お孫さんへの募金活動をスタートしてから2ヵ月後、熊本を大きな地震が襲った。被災した常連のみなさんにジャズを楽しむ余裕がなかったこともあり、客数が1/3まで激減した。

「正直、もう店をやめようと思い、相談したこともあります。でも、この場所を必要と感じてくださる方がいるんだから、もう少し頑張ろうと思いました」

 現在はオーディオやジャズ好きに加えて、家族が買い物を楽しんでいる間に訪れるお父さんたちが増えた。

「デパートに行っても、お父さんはベンチで座っていることが多いじゃないですか。そんな同世代のオヤジたちの憩いの場所でありたいというのも、この店をオープンするときのコンセプトでした。これまでの自分の人生でほとんどかかわったことがない方々に出会える環境を、自分自身でも楽しんでいます」

 名物のカレーライスづくりから、ワインエキスパートの資格を持つ奥さまの教子さんの存在も大きい。

「一般的に、旦那さんが定年した後、奥さんは好きなことをやって元気になるのに、旦那さんは家でボーっとしている。ウチは、奥さんがワインのスクール講師をしたり、そこで知り合った方々もいらっしゃる。それぞれが好きなことをやって、その合流地点がこの店になっています。第二の人生の展開が楽しみですよ」