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JBLが聴ける店・Sound of JBL | 名古屋・中村区 Jazz & Cafe BASSLINE

JBLが聴ける店・Sound of JBL

名古屋・中村区

Jazz & Cafe BASSLINE

日常使いのPARAGONが奏でる
上質で心地良いジャズ。

JBLが聴ける店・Jazz & Cafe BASSLINE

名古屋の喧噪の中に佇む新進気鋭のジャズ&カフェ。

JBLが聴ける店・名古屋・中村区 Jazz & Cafe BASSLINE 01

居酒屋が建ち並ぶ中に佇むBASSLINE。煉瓦作りのクラシカルな雰囲気は、ジャズの聖地、ニューオーリンズの街並を思い起こさせる。

 全国三大都市のひとつに数えられる愛知県名古屋市。その玄関口にあたる名古屋駅は、中部地方随一のターミナル駅として、日々賑わいをみせている。なかでも市の中心部に近い桜通口周辺は、夕方ともなると繁華街に繰り出す人々で溢れ返る。

 そのためこのエリアには飲食店が建ち並んでいるのだが、街の光景を目の当たりにして、溜め息をこぼす人物がいた。内科医として市内の病院に勤務する杉本亨氏だ。

「特に週末は、このあたりでどこか良いお店はないかと思って探しても、どこもお客さんがいっぱいで入れないことがよくありました。名駅は大好きなのに居場所がないなら帰るしかないのかと、何度も残念な思いをしました」

 そこで杉本氏は考えた。"ないのなら、つくってしまおう"。

「自分でつくったお店なら入れてもらえないことはないだろうという考えが始まりで、ついでに自分が行きたくなるような理想のお店にしようと思いました。でも、飲食店の経営はずぶの素人。料理もお酒も、どうしたらいいのかわかりませんでした。なので飲食の部分はプロのシェフやバーテンダーに任せて、私はオーディオと音楽に専念することにしました」

 そのような経緯で2012年に誕生した「Jazz & Cafe BASSLINE(ジャズ&カフェ ベースライン)」。店名の「BASSLINE」は、杉本氏が大学時代から嗜んできたベースに由来する。「ジャズ&カフェ」としているのは、根底にあるのはジャズだが、クラシックや他のジャンルの音楽も趣くままに受け入れたいとの思いがあるからだ。

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【上】店内の中央に設置されたPARAGON。ツィーター、スコーカー、ウーハーがホーン型のPARAGONは、前面パネルの効果もあり前後左右への音の回り込みが少ない。丸いものには音を拡散する効果があるので、ドラムセットは敢えて片付けていない。【中上】良質な音を行き渡らせるために設計されたBASSLINEの店内。床はいわゆるベタ基礎で、その上に高域の吸音効果がある合成樹脂の床材を敷き詰めている。【中下】BASSLINEを象徴する店内のオブジェは、実は音を拡散させるためにつくられたもの。言われなければわからないパートにも、上質な音を行き渡らせる工夫が施されている。【下】カウンター席の周辺は杉本氏の音への工夫がよくわかる空間。スピーカーの背面にあたるスペースだが、部屋の響きをうまく利用することで心地よい音が広がる。

すべてはPARAGONが奏でる
上質な音を行き渡らせるため。

 BASSLINEの店内の構成を考える際、杉本氏がもっとも重視したのが「いかにして良い音を行き渡らせるのか」だった。というのも、杉本氏は旺盛な音への探究心の持ち主。中学生の頃から真空管アンプを自作したり、オーディオの名店を覗きに行っていたほどの長いオーディオマニア歴を誇る。医師になってからもオーディオへの興味は深まるばかりで、JBLの不朽の名機「PARAGON(パラゴン)」を自宅で使用していたという。そのPARAGONをBASSLINEの音響設備の軸にしようと考えたのだ。

「スピーカーを置く床は余計な振動がしないように、メカニカルグラウンドアースの概念で、全面、直接地面にコンクリートを敷き詰めました。その上に厚さ5ミリほどの合成樹脂の床材を貼り、有害な音の反射を抑えています」

 スピーカーを設置したスペースの壁面や天井にも、PARAGONの良質な音を有効に広げる工夫を施している。

「スピーカーが置いてある場所はライブのステージにもなる音の発生源です。左右の壁面はレンガにして、有害な反射を抑えると同時に吸収、拡散させています。さらにスピーカーの真上の天井には7度の傾斜をつけ、定在波やフラッターエコーの発生を防いでいます」

 客席の天井や壁面も、音の広がりや吸収を計算して設計している。

 発生源から拡散された良質な音波は、天井の低いところでは吸音材が有害な反射を吸収する。吹き抜け部分の高い天井には吸音材を貼らず、角度をつけているのは、2階の奥まで音を行き渡らせるためだ。そうして2階の奥にまで届いた音を1階へディレイをかけて戻し、自然なホール感を演出している。面積の大きい壁同士が対面すると音を拡散させることができないので、階段側の壁面にはウッドベースのエンボス加工を施している。

「みなさん『オシャレな内装だね』と言って下さいますが、実はすべて音のためを考えてつくったものです。結果的に機能美が出てしまったようですが、吹き抜けにしているのも、蹴り込み板のない階段にしているのも、有害な反射を発生させないためや音の通りをよくするためなのです」

 

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【上】イスも音の流れを考えたつくり。「一般的なイスではお客様が座っているときといないときで音の響き方が変わってしまいます。その違いが出ないように、音を吸収する設計にしました」【中】2018年6月の限定コースは、4種類の前菜盛り合わせ、季節のサラダ、国産牛ホホ肉の赤ワイン煮、本日のデザート。テーブルチャージやドリンク2杯を入れても、5000円でお釣りがくる価格設定だった。【下】大学時代にロックバンドのベースを担当していた杉本氏は、BASSLINEのステージに立つこともある。最近はクラシックのライブでウッドベースやチェロを弾くことが多いそうだ。

上質な音と美味しい料理が
リーズナブルに楽しめる。

 良質な音響環境の構築とともに、杉本氏は居心地の良さについても徹底的にこだわった。イスやソファに関する話だけでも、その意気込みが伝わってくる。

「ソファは試作品を10個つくって、やっと座り心地の良いものができました。食事もできてくつろげる適度な形や硬さに仕上がっていると思います。音楽を聴きながらゆっくりと長い時間を過ごしていただきたいので、イスも食事やリラックスする場合の両方の姿勢に合う設計にしました」

 そこまで手を尽くしているのだから料理やドリンクを相応の価格に設定してもいいものだが、BASSLINEのメニューは驚くほどリーズナブルだ。例えば、日曜から木曜の20時までオーダーできる限定コース。お試し価格でもあるためこの場では公表を差し控えるが、同様のクオリティのコースを他店でいただくとなると、倍近い価格になりそうだ。しかもテーブルチャージは800円で、生演奏が聴けてもライブチャージは必要ない。

「よく『客単価と回転率は考えた方がいい』と言われますが、私にとっては来られたお客様に楽しんでいただくのが一番なんです。PARAGONが目立たないことも『もったいない』と言われたりしますが、基本的に、何も知らずに入って来られたお客様に、居心地、音響、お料理の良さで驚いていただきたいので、前もって宣伝や説明はしないようにしています」

 リーズナブルな美味しい料理とPARAGONが奏でる上質な音楽や生演奏が楽しめるBASSLINE。にわかには信じられないようなお店だが、こんなお店を知っていることをつい自慢したくなる一方で、あまり知られず密かに楽しみたいという気持ちもある。BASSLINEとは、そんな複雑な思いを抱かせる、ジャズ&カフェである。